【小説 サチの中の自分】1サチの生い立ち

サチは兵庫県で生まれた。どのような過程でそこから、次女のサチが長女となる京都の家族の一員になったのかはよく知らない。ただ真面目に、息苦しいとまで言える人生だったと思う。それ程幸せ満帆ではなかった。 彼女の人生は”普通”ではなかった。生まれた時から苦労していた。

戦後、ついに終わった歴史的悪夢の時に終止を打った日本国でサチは生れた。サチは次女としてこの世に誕生した。ただ、ただ、サチの父親はほかにも内妻がいて(つまりゆくゆくの私の祖母)、そして同じ年の妹が出来たのだ。父親はサチの実の母親との生活よりもそちらを選んだ。この世の中にそうやってサチは誕生したのだった。
サチは子供の頃から気を使う人間になってしまった。気を遣うというより、人目を異常に気にする人間だった。真面目で、成績優秀、人気者ではなかったが友人は普通にいた学生だった。
高校卒業後すぐに公務員となり、一涯にかけてそこで働くことになる。23歳でお見合い結婚をして3人の子供をもうける。旦那はギャンブル依存のところがあり、のちに家族を捨てて消えていく。サチはそのせいで人生の大半を無駄に働かせられ、1人で3人の子供を育て上げる。
63歳という若さで2度目の癌によりとうとう死去する。

サチは35歳の時に胃がんになった。その時は旦那の母親が福井から孫たちの世話をしに来ていた。それきりだった。わたしにはあまり、そちらの家族との思い出はない。覚えていない。

つづく

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